特殊詐欺は被害者の心理を巧みに利用した犯罪で、誰もが被害者になる可能性があります。しかしその一方で、自分が詐欺行為に関わっていることを知らずに、特殊詐欺に加担してしまうということもあります。
「特殊詐欺と知らずに加担してしまった」と気付いた場合、どうするべきなのでしょうか?
詐欺だと知らずに加担してしまうケース
詐欺被害の増加に伴い、高校生や大学生など若い世代が出し子や受け子で逮捕されたりと、知らず知らずのうちに特殊詐欺に巻き込まれるという事案も発生しています。
出し子や受け子は、犯罪であると伝えられないまま犯罪に加担しているため、加害者として巻き込まれるというパターンも多くあります。
ここからは、詐欺だと知らずに加担してしまうケースを見ていきましょう。
SNSに書き込まれた高額バイトに応募してしまう
TwitterやInstagramなどのSNSに書き込まれた高額バイト募集などを見て、詐欺だと知らずに加担してしまうケースがあります。
ネット上の裏求人サイトでは、振り込め詐欺などの「出し子」や「受け子」の仕事が複数掲載されており、高時給に釣られて、知らずに犯罪の加担者になってしまうということは少なくありません。
働いていた会社が詐欺に加担していた
働いていた会社が、振り込め詐欺などの詐欺に参加していたというケースもあります。
アルバイトとして加担してしまっていた場合でも、詐欺の共同正犯として逮捕されてしまう可能性があります。
故意であるかどうかで犯罪が成立するかが決まります。
犯罪の故意があると認められない場合には不起訴処分で釈放されます。
ネズミ講に加担してしまっていた
インターネット上などで、「誰でも簡単に稼げる」「一緒に儲かる仕事をしよう」といった詐欺まがいの勧誘には後を断ちません。
知らずにネズミ構に加担すると、法律違反となり罰せられる可能性があります。
詐欺話の手法にはネズミ講のようなモデルも組み込まれているため、詐欺かどうかの見分けが難しいケースも多くあります。
特殊詐欺と幇助の関係
幇助(ほうじょ)とは、正犯による犯罪の実行を手助けする行為のことです。
幇助犯は正犯と対比して「従犯」と呼ばれるなど、幇助犯が成立する場合には正犯に比べて軽い刑罰となります。
振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺は、ひとつの犯罪に多くの人間が関与しており、「指示役」「かけ子」「受け子」「出し子」などそれぞれが共犯関係になります。
特殊詐欺をはたらくグループと知りながら「高額の報酬が目当てだった」といった動機や経緯がある場合は、共同正犯として厳しく処罰されます。
一方、受け子や出し子のように特殊詐欺の犯行の実行を手助けをしているものの、犯行そのものに加担していないケースは、幇助と判断されることもあります。
詐欺に加担させられていた気付いた場合、どうするべき?
詐欺罪が成立するような行為に加担をしていた場合、逮捕や有罪判決を受ける場合があります。
詐欺行為と知らずに加担させられていたことに気付いた場合、どのような行動をとればよいのでしょうか?
すぐに弁護士に相談する
まずは法律の専門家であり、刑事事件に詳しい弁護士に相談しましょう。
場合によっては、捜査機関への自首等が必要になるケースもあります。
特殊詐欺への関与を断ち、罪を重ねないためにも、早い段階で弁護士に相談して適切な行動をとることが大切です。
弁護士には守秘義務が課せられていますので、相談された内容が第三者に漏れることはありません。
被害者との示談交渉を進める
実刑判決を避けるためには、被害者との示談交渉を進めることが必要になります。
被害者との間で示談が成立し、和解できれば、検察官や裁判官は被害者の処罰感情が和らいでいると判断できます。
刑事処分を軽くするためにもただちに刑事事件に詳しい弁護士に依頼し、反省文の提出や贖罪などで反省や再犯防止の意思を積極的に主張することが大切です。
事案によっては罪に問われないケースもある
詐知らない間に欺に加担してしまったとしても、事案によっては執行猶予が付くケースや罪に問われない可能性があります。
しかし、詐欺罪の共犯において正当防衛や緊急避難が認められるのは、ごく限られたケースであることを頭に入れておきましょう。
少しでも詐欺事件に加担してしまった場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。
まとめ
いくら詐欺に加担してしまっていたことに気付かなかったとしても、「知らなかった」といった弁解が受け入れられるとは限りません。
インターネット等の怪しい求人に応募しないことはもちろんですが、犯罪への関与を断ち、罪を重ねないためにも、「特殊詐欺と知らずに加担してしまった」と気付いた場合はすぐに弁護士に相談しましょう。